奇妙な名前を持った不思議な力の宿る太刀。
それが徳川家康の愛万として名高いソヤハノツルギです。
身幅が広くやわらかな地鉄に直刃が焼かれている作風で知られる筑後国の刀匠・三池典太光世の作と伝えられています。
太い身幅で鋒まで広く、短めな刃長。美術品のような優雅な美しさは感じられないものの、武器としての圧倒的な強さを放つ姿に家康は魅力を感じていたのでしょう。
戦国の世をなんとか生き抜き徳川幕府を開いたものの、いまだ豊臣の残党にも頭を悩ませなければならない日々の中で、家康は強靭な威力を持つ太刀に霊感を覚えたに違いありません。
また、264年も続いた平和な江戸の世は、ソハヤノツルギのおかげなのかもしれません。
このように太刀に祈りを込めた家康の心情は、日本刀に魂を感じてきた日本人の心情をよく象徴しているとも言えます。