長い柄のある武器の歴史は、まず鉾が存在し、次に長刀、そして槍という順序で使われてきました。長柄の穂先に刃を装着したものを、一般的には槍と呼んでいます。しかし、流派によっては鑓という漢字を宛てることもあるそうです。人間が作った武器の中でも非常に単純な作りでありながら、日本での槍の変遷は明確にはなっていません。恐らく最も初めの時点では狩猟に使われており、続いて闘争のための武器として使われるようになったと考えられています。鉾が兵士に使われる武器であったのは、奈良や平安時代と言われています。武士の得物として使われるようになったのは、戦国時代に入ってからと考えられているそうです。集団で戦闘をすることにおいて、槍は非常に高い効果を発揮しました。槍が重宝された理由として、太刀や長刀と比べて製作が簡単であったことが大きな理由とされています。戦がおきれば人の怪我だけでなく、武器も損傷します。この時代において製作が容易ということは、大切なことでした。徒武者の集団戦が主流になっていた時代では、槍を使った長柄隊(槍組)が結成されていました。兵の数と、槍の長さが勝敗を分けていたと考えられています。戦国期に入ると、上流の武士も槍を使うようになりました。中世では武門を「弓矢の家」と呼んでいましたが、この時代には「槍一筋の家」と呼ぶようになり、槍先の功名を得ることが武士の目的になっていたことが分かります。槍で合戦をすることを槍合せと呼んでおり、集団での攻撃も編み出されていきました。武士たちの使う槍は単純な技法だけでなく、打つ、払う。突くといった、剣術と同等のさまざまな技を使いこなし、それぞれで流派を起こしていきました。