最近はメディアでも日本刀が取り上げられる機会が増えているように思います。専門書の出版も増えており、美術品としての日本刀が人口に膾炙しつつあります。これだけの人気を集めるようになったきっかけはソーシャルゲームにあるのかもしれません。ゲームで日本刀をイメージしたキャラクターが登場するようになり、若い人の間にも日本刀に関する知識が広がったからです。元々外国人から高く評価されてきた日本刀が、今では日本人自身の注目も集めるようになっているのです。
日本刀の起源を探ると、先ず形状で時期を分けることが出来ることに気付きます。日本刀のイメージとして定着している「反り」が生まれたのは、刀剣そのものが誕生した頃よりずっと後の時代でした。つまり直刀の時代が長く続いた後に、「反り」が加えられることになったのです。この「反り」は世界的に珍しく、正に日本刀のアイデンティティを構成するものですが、ここでは反りが生まれるまでの経緯について、歴史を振り返って学ぶことにしましょう。
日本で初めて刀が使用されたのは、紀元前のことだと考えられます。当時、中国から伝来したと思われます。その後、日本は独自の技術で青銅製の刀剣の生産に成功し、古墳時代には既に鉄製の刀剣が生産されていました。古事記にも刀剣に関する記述が認められますし、聖徳太子の肖像画にも刀を持つ者の姿が描かれています。しかしこの時期の刀剣はまだ直刀で、反りはありませんでした。当時の刀剣で現存するものとして金銅装備環頭大刀が知られていますが、やはり反りが見当たりません。